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今月のピンポイントアドバイス

不機嫌な職場

無言ビジネスの発生


 『不機嫌な職場』という本がありました。職場での対話が少なく、お互いが深く関わろうとせず、何となく不機嫌に見える職場が多くなったとして「そのような職場は生産性が上がらないぞ」という警告本です。

 この本が伝えるような不機嫌な職場が現実に存在することを、以前から知人の話で聞いてはいましたが、本になるくらいですから相当拡大しているのでしょう。職場が不機嫌になってきた要因はどのようなものでしょうか。2つの要因が考えられます。

 1つは、平成大不況といわれたポスト・バブル経済を何とか生き延びようとする多くの企業が、正社員から派遣社員やパート社員などに雇用形態をシフトしたことです。できるだけ人件費をかけずに生産力が上がるような仕組みを模索した結果でした。

 労働力の質的変化は組織に対する忠誠心という日本企業の強みをひどく低下させてしまいました。単純な意味も含めて『愛社精神』が希薄になり、職場に対する帰属意識は当然のごとく弱まったことが不機嫌化に結び付いたのだと思います。

 もう1つはIT革命による情報技術の目を見張るような発達、高度化です。そのため人の手を煩わさずに色々な情報を得、発信することが可能となり、人が言葉を発する機会がめっきり減ったことです。

 極端に言えば『無言で行なえる電子機器操作』や、『機械のようなマニュアル応対』だけでサービス提供するシステムが出来上がり、消費者はこれらの『無言のサービス』を無言で購入するようになったのです。

 その『無言の消費者』が、生産者という逆の立場に身を置いた時、愛社精神に欠ける集団の中でIT機器をただ押し黙ったまま操作する『無言の生産者』になるのです。

 IT技術の発達は人員削減を目指す企業の方針にピッタリはまりました。省力化志向に高度な情報技術が重なった結果、知識や意欲に乏しい学生アルバイトや、言葉が通じにくい外国人アルバイトの低コスト労働力だけでもハイテク機器によって商売が成り立つ仕組みが作り上げられたのです。消費者はサービス業であっても気の利いた会話など端から期待しなくなり、自然と無口になって行きました。

 このような『無言ビジネス』が社会に与えた弊害は、「会話を交わさなくとも仕事は成り立つ」「言葉でいちいち頼まなくても物は手に入る」といった空気の誕生です。その結果が会話の激減であり、結果として登場してきたものが不機嫌な職場だったのです。
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