| 安売り“ファスト医療”への警告

自信をもって真っ当な医療を提供し、正当な治療費を請求しましょう。保険診療なら保険診療で規定されている治療を素晴らしい技術で丁寧に行うべきです。行ってもいないことを“虚偽請求”するのは悪ですし、実際に必要があって行ったことを過剰診療との指導を受けることを恐れ“過少請求”することも正しくはありません。
もし、真っ当に行った結果、医院経営が成り立たないのであれば、保険制度の理不尽さと、制約された治療内容の不十分さが患者に与える不利益について説明し、毅然として自由診療を勧めるべきです。そして自信をもって真っ当な医療を提供し、正当な治療費を請求すべきです。
真っ当な医療にとっての重要なパートナーである技工所を下請け扱いして技工料を叩いたり、安い海外モノに手を出したりすることは即刻やめ、優秀な技量を持った技工所とタッグを組むべきでしょう。
そして患者には、製作する技工所名と担当技工士のプロフィールが明記されたものを提示することをお勧めします。それが誠意というものですし、技工士の立場を守ろうとする歯科医師がとるべき義のある態度です。院内技工であるならば技工士が直接立ち会って挨拶をするように指導するべきで、それはまた患者に信頼感を与える正攻法であると思います。
今回の技工物海外発注報道を機にどこかの歯科医師会が同様のポスターを用意したとの話を聞きましたが、横浜市緑区の医療法人山本歯科医院の山本真樹院長はかなり以前から技工所と技工士の写真入りプロフィールを掲げたプレートを用意し、技工の製作に入る前にスタッフがこれを提示し説明することを励行しています。
勿論、名を明かされたからといって一般の人がそれを評価できるわけではありません。仮にその技工所や技工士が有名であったとしてもそれは知らない世界の話であって、患者に対して大きなインパクトを与えるものでもありません。
しかし、「その態度やよし」なのです。それが誰であれ、名を明らかにすることで信頼感と安心感を与えることができます。少なくとも“中国製ではない”ことだけは伝えられますし、入れ歯がピタッと納まったとき、患者はきっとその技工士の顔を思い起こすでしょうし、再度名前を確認したくなるかもしれません。裏方に甘んじてきた歯科技工士に正に陽の光が当たるようになるのではないでしょうか。
(Management Club Report 2010.2月号より抜粋しました)
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