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消費の低迷を受けた安売り合戦は近年一段と激しさを増しています。ディスカウントショップ、アウトレットモール、ファストフードが大流行りで、ユニクロに代表されるデザイン性を高めた低価格衣料が売れ行きを伸ばし『ファストファッション』なる新ジャンルまで誕生しています。
歯科界でも、ファストファッションの比較的イージーな風潮が広がる中で、ファスト衣料ならぬファスト医療が登場してきているようで不安な気持ちにさせられます。
ファスト医療の特徴は、斬新なデザインの外観や内装、派手な広告看板やホームページやイベントなどの間接経費にはお金をかける一方で、材料費、技工料などの医療原価や、人件費、安全衛生関連費などの直接経費に関しては徹底したコストダウンを図るというもので、どこかファストファッションのマーケティングと重なってきます。
その結果、安売りインプラントや、技量不足を患者へのおもねりでカバーしようとする歯科医院などの増殖、技工物の海外発注などが現実問題として表面化してきています。インプラント使い回しは、そのような風潮の中で登場した究極の恥ずべき事件と言えるでしょう。
歯科医院は事業として営まれている以上、利益を上げ発展しなくてはなりませんが、
コストダウンでしか利益を出せないようなシステムであるとすればそれは明らかにおかしいと言わざるをえませんし、とんでもない方向に向かう危険性をはらんでいます。
材料費や技工料を削って品質が高まりますか?人件費や安全衛生費、研究研修費を削って品質が上がりますか?上がる局面があるとすれば、それは明らかに無駄な要素をカットすることに協力業者やスタッフの共感が得られる場合のみです。
歯科医院が利益を上げるということは、歯科医院経営者である歯科医師1人が豊かになることでは断じてありません。協力業者もスタッフも共に豊かになって行かなければなりませんし、何よりも患者の利益が高くならない限り歯科医院の発展は拡大も持続もしないのです。
技工物を製作費の安い中国に発注する医院が近年増加しているとは聞いていましたが、中国製の技工物から有害物質が検出されたとの報道をテレビで知った時には「やはり」と思ったものです。ポロシャツやスポーツバッグならまだしも、こと医療に関わるものを、コストを抑えて儲けを出すために発展途上国に発注するとは「何たる不見識」と言わざるを得ないのです。
食品の産地表示に『中国産』とあったら買い控える人が多いと思います。口から体内に入るものには何にも増して安全衛生に神経を尖らすのは当たり前で、残念ながら未だ『中国産』にはその辺りの信用性に絶対的なものが感じられないからです。人間の健康や生命はお金には変えられないのです。
これも目につくところは立派で華やかだが、見えないところには手を抜く、見せかけファスト医療の特徴なのでしょうか。
保険診療中心で患者を大量に捌こうとすると、どうしても見た目を着飾って集客力を高めようとしますので、コスト高になる分、見えない部分は安く抑えようとするのでしょう。
あるいは自由診療中心でも、価格競争力を高めようとしてコストダウンを図ろうとした結果かもしれません。それならばそれで『当院では、治療費を抑えることでよりご利用し易い歯科医療を提供するため、技工物については安価な中国にて製作しております』と堂々と表示するべきです。
そのような表示をいまだに見たことがないということは、やはり「知られたくない」ことなのでしょう。それは卑怯だし不誠実です。
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